カレンの文化①-山焼き
今年も例年と同じくバンコクやチェンマイなど大都市での大気汚染が深刻になっている。
毎年2月から4月のソンクラーン(水かけ祭り)前までの約3か月程である。
バンコクなど都市部では普段から交通量が多く大気汚染が問題になっているものの、この3ヵ月程の時期にはタイ北部やミャンマー北部での山焼きが大気汚染をさらに深刻なものにしている。
タイ北西部に位置するメーホンソン県メーサリアン市も山焼きが盛んに行われている地域の一つである。その状況とはどのようなものなのか。
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状況
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大気汚染指数(AQI)
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なぜ山焼きは無くならいのか
1. 状況
普段メーサリアンはとても空気が綺麗で訪れる人々を癒している。
2019年10月10日に撮影した写真ではミャンマーへと山々が連なっているのが確認できる。さらに、2020年1月24日の夕方に撮影した写真でも山のシルエットが夕日によってはっきり確認でき大変綺麗である。
しかし、山焼きが始まりだした2020年2月19日に撮影した写真では手前に見えていた山でさえ確認しにくく、一変して空気が悪くなる。この写真だけ見ると平野に立っているように感じ、実際には山に囲まれた盆地なのを忘れてしまいそうである。
この時期になると道路脇につけられた火が燃え広がり山々を燃やし、至る所で炎と煙が時間を問わず立ち上っている。その為家の机の上でさえ薄くススで覆われる。
もちろん体への影響もあり、山焼きが始まると頭痛や喉の痛みを感じるようになる。
それで多くの人がマスクを着用し、各所に“山焼き指数”なるものが出現し注意喚起する。
2. 大気汚染指数(AQI)
大気汚染指数(AQI)サイトを見ると一目瞭然である。http://waqi.info
一般的にAQIが100を超えると体に影響を与え始め、200を超えると体に悪影響を与える環境とされている。
メーサリアンでは2月28日にAQIが250を超え、2月の記録を平均しても150を超えている。さらに2020年3月5日バンコク市内のAQIは一番高い所で107、メーサリアンは162であった。
3. なぜ山焼きは無くならないのか
各所に山焼きの看板が設置されているにも関わらず、その側で炎が上がっているのが現状である。カレン人の文化とも言える。ゆえに、ミャンマーやタイ北西部では山焼きが盛んに行われている。
具体的には、この時期になると大きな落ち葉が多く地面に積り、舞うので。落ち葉と共に道路わきのゴミも燃えて無くなるので。または、猟をする際に大きな落ち葉が音を立て邪魔になるので。キノコ栽培の肥料となるので。など理由は様々である。
メーサリアンの人々も大量の煙が体に悪影響を与える事は知っているものの、風物詩の一つになっているのもまた事実で今だ無くならず続いている。
落ち葉や、ゴミなどは燃やすことで見た目には綺麗になるが広範囲に悪影響が出てしまう。
どの文化や習慣にも言える事だが、カレンの文化も守るべきものと少しづつ修正していくべきものがあるように思う。
今年のバンコクは車の排気ガス、例年の中国からのPM2.5、北部の山焼きに加えコロナウイルスと気が休まらない事だろう。